業務効率を劇的に向上させたIT化

IT化によって業務効率がアップ

IT化によって業務効率がアップ

さまざまな分野で業務効率を高めるのに貢献してきたITは、医療業界にも浸透してきています。具体的にどのようなことが行われているのでしょうか。

充実した医療サービスが受けられるように

高齢化が進んでいる日本ですが、2025年には今以上に高齢者の数が増加し全人口の3分の1が65歳以上になると予想されています。高齢者の増加に伴い、年金などの社会保障費や医療・介護サービスの利用者数も増していますが、人手不足によって充実した医療・介護サービスを提供するのが難しい状況となっています。そのような状況を打開する一手として期待されているのが医療のIT化です。
医療のIT化の中心となっているのが、患者さんの診療情報を一元的に格納・管理する「電子カルテ」です。

「電子カルテ」とは?

カルテをPCやタブレットなどを用いて作成し、患者さんの情報を電子データとして保存できるものが「電子カルテ」です。電子情報として一括で編集・管理し、データベースに記録できるため、紙のカルテのように保管場所を確保する必要はありません。
紙のカルテの方が書きやすいという人もいますが、電子カルテは業務効率を大幅にアップさせるとして年々導入する病院が増えています。電子カルテは紙のカルテと違ってさまざまな場所からアクセスし、閲覧することが可能です。カルテの保管場所に赴く必要もなく、探し出す手間もかかりません。すぐに必要なカルテにアクセスできるため時間もかかりませんし、他部署との共有も簡単にできます。また、電子カルテには診療情報だけではなく画像データや処方箋などの情報も登録できます。必要な情報をすぐに得られるため、診察から会計までの時間を短縮できます。

多くの病院で導入が進んでいる

かつては紙のカルテとレセプトコンピュータを組み合わせる形しか認められていませんでした。しかし、1999年に電子化が認められ、2001年には厚生労働省が電子カルテを400床以上の病院と全診療所の60%以上に普及させる目標を設定しました。現在は規模が大きい病院を中心に普及が進んでおり、400床以上ある病院の85%近くは電子カルテを導入済みです。

電子カルテ以外も開発している

電子カルテが広く普及していることもあり、「医療のIT化=電子カルテ」と思っている人も少なくありません。しかし、電子カルテ以外の開発も進んでいます。例えば、医師が話した内容をそのまま電子カルテに書き込む音声入力ソフトウエアや医療機関内で情報を共有する医療専用SNSなどです。また、ウェアラブルデバイスで収集したバイタルデータのクラウド保存やAIによる診断などの研究も進められています。

もっと詳しく知りたい人へ

  • 進んでいるのは規模が大きい病院
    進んでいるのは規模が大きい病院

    IT化が進んでいるのは経営が安定している規模の大きい病院です。最新の医療機器があり、最先端のシステムも導入しているため多くの患者さんが集まっています。業務量が多いため残業もありますが、働きやすいように環境が整えられています。

  • 莫大な費用がかかる
    莫大な費用がかかる

    電子カルテの普及率は病院の規模によって異なります。電子カルテと一口にいっても部署ごとにシステムが異なり、さらにスムーズに連携できるように統合したシステムも必要です。高度な技術が必要なため、開発や設備費用として数億円かかるといわれています。

  • IT化によって業務効率がアップ
    IT化によって業務効率がアップ

    高齢者の増加により充実した医療・介護サービスの提供が難しくなっています。その状況を打開するとして大きな期待が寄せられているのがIT化です。さまざまなシステムが開発されていますが、中心となっているのが電子カルテです。