なぜIT化がスムーズに進まないのか?

スムーズに進めるコツは目的を明確にすること

スムーズに進めるコツは目的を明確にすること

高齢化によって医療・介護サービスの提供に影響が出ると考えてられています。それを打開する手立ての1つがIT化ですが、どうすればIT化の導入がもっとスムーズに進むのでしょうか。

IT化する意味はそれぞれ異なる

一見すると医療のIT化が順調に進んでいるように感じますが、実際、導入が進んでいるのは400床以上の規模の大きい病院ばかりです。200床~399床の中規模病院や200床に満たない小さな病院、診療所などではそれほど進んでいません。一体なぜ、そのような差がついているのでしょうか。
考えられるのは費用面です。IT化には莫大な費用がかかります。その費用を負担してまで導入するメリットがあるのか、と問われると、中小規模の病院ではそのメリットがなかなか見つけられないのです。「IT化するのが時代の流れだから」「ペーパーレスが一般的だから」「職員から要望があるから」などの理由でIT化を進めている病院も少なくありませんが、それでは「ただシステムを導入しただけ」になってしまいます。莫大な費用を払ってシステムを導入しただけでは経営を脅かしてしまうだけです。「なぜIT化するのか」という理由をしっかり考えた上で導入しなければ意味がありません。
一口にIT化といってもどのシステムを導入するのかで効果が全然違います。また、病院ごとにメリットを感じる部分も異なるでしょう。病院の強みを出すのか、それとも職員の業務改善につなげるのか、どの部分に重きを置くかを明確にしなければなりません。しかし、意外なことに、導入する目的をしっかりと考えている病院はそれほど多くないのです。

「目的」を設定するには?

導入する目的を明確にしておかなければ莫大な費用をかけても失敗してしまうだけです。まずは目的をしっかりと設定することが大切ですが、ここで注意したいのが「目的」と「目標」の違いです。目的と目標という言葉は普段からよく使っていますが、厳密に違いを理解している人はどれくらいいるでしょうか。
「目的」は成し遂げようと目指す到達点のことで、「目標」は目的を達成するための具体的な手段のことです。この違いを理解してから医療のIT化とは何かを考えると、さまざまなシステムを導入する目的が自ずと見えてきます。
例えば、現在抱えている問題点を改善するため、病院の強みをさらに強化するため、病院の理念や方針に沿ったシステム導入、といったように目的がはっきりすれば、IT化する価値も理解できるはずです。こうして単なるインフラ整備ではないことが分かれば、医療のIT化はもっとスムーズに進み、それぞれの目的を達成するために有効活用することができるでしょう。

もっと詳しく知りたい人へ

  • 進んでいるのは規模が大きい病院
    進んでいるのは規模が大きい病院

    IT化が進んでいるのは経営が安定している規模の大きい病院です。最新の医療機器があり、最先端のシステムも導入しているため多くの患者さんが集まっています。業務量が多いため残業もありますが、働きやすいように環境が整えられています。

  • 莫大な費用がかかる
    莫大な費用がかかる

    電子カルテの普及率は病院の規模によって異なります。電子カルテと一口にいっても部署ごとにシステムが異なり、さらにスムーズに連携できるように統合したシステムも必要です。高度な技術が必要なため、開発や設備費用として数億円かかるといわれています。

  • IT化によって業務効率がアップ
    IT化によって業務効率がアップ

    高齢者の増加により充実した医療・介護サービスの提供が難しくなっています。その状況を打開するとして大きな期待が寄せられているのがIT化です。さまざまなシステムが開発されていますが、中心となっているのが電子カルテです。